目次
「毎日、同じ服を着てる男」。
タイトルを見て、
「え!それって不潔なんじゃ….」
と思った方、安心してください。
全くおんなじ服を何着も何着も持ってる、という事です。笑
私は、
基本的にどんな服が流行ろうが、
冬バージョン、夏バージョンの2パターン以外に、違う服を着る事はまずありません。
(Tシャツやインナーなど肌に直接触れるもの以外)
ちなみに、世界的な著名人で言うと、
マーク・ザッカーバーグ(facebook創業者)
バラク・オバマ(米国元大統領)
スティーブ・ジョブス(アップル創業者)
が「毎日同じ服」な人として有名です。
彼らが毎日同じ服を着るのは、
「決断をする回数を減らす為」
だそうです。
世界に影響を与えるほどの人物は、毎日、膨大な数の「決断」を常に迫られます。
毎朝、「どれ着ようかな~」とか迷ってる暇はありません。
それに影響を受けて、私は彼ら著名人の真似をしているのか??というと、まったくそんなことはなく、
彼らが日本で有名になる前から、私はすでに「毎日同じ服」の人でした。
「よし!ジョブスが毎日同じ服だから、俺もそうしよう!」
みたいなアホな動機ではありません。
そんな
誰よりも服装にこだわって、考え抜いている美容師の一人
と自負している、私の服へのこだわりについて今日は語りたいと思います。
一生モノの服vsユニクロの服
19年間、表参道で美容師をしているので、様々な国内での、
「有名美容師」
と言われる人たちと交流があります。
彼らに共通しているのは、やっぱオシャレです。
なんか、あか抜けているというか、都会的なんですよね。(だからこそ沢山の指名客が付くと思うのですが)
自分自身のブランディングの為、というのもあって、
彼らは服にお金をかけてます。
特に、高くても「一生モノ」の服やアイテムを大事にする人が多いような気がします。
私は、
一生モノのアイテムって、
この(美容師という)職業で、現場でお客様の髪を切るときに限っては、
反対派
です。
一生モノの服やアイテムを大切に使う位なら、
「一瞬モノ」の服をたくさん、消費した方が良いと思ってます。
(※セミナーや講演、撮影時はお客様の髪を切るときじゃないのでその場合は除く)
例えば、
ユニクロの服は機能性と価格のバランスの点でいうと、
美容師にとって最高の服だと思ってます。
そして私はかなりの数を消費します。着ては捨てて、着ては捨てて、みたいな感じです。
医者の白衣にブランドロゴは入っているのか??
私の職業(美容師)は、
不特定多数の女性の髪の毛を、鋭利な刃物(はさみ)で切断します。
しかも毎日かなりの人数の髪を、です。
それが服に多少なりとも飛び散ることで付着するので、とても不衛生になります。
これは、医師がたくさんの患者を手術する際、不特定多数の患者の菌や血液が手術衣に飛び散って付着してしまうのと似ています。
大事に大事に洗って使って….なんてやるよりも、
ある一定数まで使ったら(あるいは毎回)捨てて新品にした方が良いです。
究極の衛生方法は、捨てる事です。
衛生面から考えると、現場主義の私に言わせれば、
一生モノとして使ってるようじゃ、ダメなんです。
もし、医師の手術衣や白衣に、
こんなロゴ入ってたら、捨てずらいですよね??
値段を考えると躊躇してしまう。
だから、僕はできる限りユニクロのような安価な服で、
仕事のためなら容赦なく捨てれる
というのを大切にしています。
デザインよりも機能性で服を選べるようになったら一流。
美容師という仕事は、突き詰めて仕事をしているとあるところまで来るとアスリートっぽくなります。
限界まで正確に切れるようカット技術トレーニングをしたり、寝食を忘れて毛髪科学の勉強をしたり。
売れっ子美容師になる為には通らなければいけない道です。
スポーツ選手、たとえば、「野球」に例えてみましょう。
もし、
プロ野球選手で「ユニフォームが汚れるからスライディングはやりたくない」
とか、
「かっこいいユニフォームしか着たくないから、ピッチングのスピードを犠牲にしてもこのユニフォームが着たい!」
みたいな選手が仮にいたとしましょう。
私が監督だったら
即解雇
します。
だが、しかし!
美容師の世界では、なぜかこれが普通にまかり通ってます。
(というかここまでのレベルで考えている美容師が皆無というのもあるけど)
お客さんの髪にブリーチを塗っている最中に、
ブリーチが美容師である自分の服に飛び散ったとしましょう。
私は、
自分の服の汚れなんか完全無視して、手を止める事はありません。
ブリーチは塗った瞬間、発色が始まりますので、
1秒でも手を止めて、お客様の髪の染め具合に悪影響が及ばないようにするためです。
プロなので秒単位でこだわるのは当たり前だからです。
でも、三流は、
お客様の髪の染まりよりも、
自分の服についた汚れを落とす事を最優先するので、
手を止めて、グローブを外し、せっせと自分の服の汚れを落とします。
これははっきり言って、美容師として
ダサい服を着ているより、ダサい行為です。
なぜ、
彼らは目の前にいる顧客を最優先しないのか??
目の前にいる顧客の髪はどうなってもいいの??
そんなにてめえの服が大事なのかよ??
私には理解できません。
そのほかに、私の服のこだわりとしては、
■レイヤーを入れる際に、肘が数ミリ単位で上がりずらいので伸縮性の高いジャケットしか着ない。
■Tシャツの上からは、髪を留める「ダッカール」を1秒でも早く取り出せるためだけに、留める為に必ずジレベストを着る
■ボブを切るとき、しっかりとカットラインまで目線を落とせるように、座って切る。その際、足をしっかり広げて座れるように、股関節が開きやすいユニクロ製の伸縮素材のものしか穿かない。
■長時間の立ち仕事で腰がやられないように、革靴は基本禁止。ナイキ製かアディダス製など、体重をしっかり吸収できる靴しかはかない。
というのがあります。
このようなカット技術をしたい!
このようなカラー技術を行いたい!
という、
技術から逆算して服装を選ぶ
というのを私は世の美容師さんたちに推奨したい。
美容技術は、服に遠慮してはならない。そして動きを制限されてはならない。
さきほど、野球の例をひきあいに出しましたが、
どんなにユニフォームが泥だらけになろうが、ズタボロになろうが、
最高のパフォーマンス、最高のプレーのためならその汚れすらも「意識しない」くらいが丁度いいと思います。
それが、感動を生む好プレーにつながるのではないでしょうか??
上手い美容師は服を汚さない??
私がアシスタント時代は、
「アシスタントが服を仕事で汚してしまっているのは、自分の仕事の仕方がキタナイからだ」
「自分の服を汚してるってことは、周りも汚すような仕事をしてるんだよ」
と教わりました。
服が仕事で汚れる=仕事の質が低い
といった感じですね。
綺麗な服を保つのが、いい仕事をしている美容師だ、と。
確かに、明らかに仕事がガサツで、服を汚している美容師も一部、いるのは事実です。
けれども、大抵の場合、美容師が仕事で服を汚してしまっているのは、
「めちゃくちゃ本気」
で仕事をしているからです。
本気だから、そりゃ全力です。
全力だから、汚れます。
さっき、「美容師はアスリートだ」と言いましたが、また野球に例えるならば、
一塁に全力で走って、さらにヘッドスライディングで塁にタッチします。
頭から、突っ込む。
それくらい本気です。
汗一つかかずに、泥まみれの選手を横目に、キレイ子ぶってる選手とは違います。
「風の谷のナウシカ的」発想が必要??
私が経営している美容院で、
アシスタントはやはり服も手も、ボロボロです。
私は、
かつてアシスタントだった私を罵った先輩たちのように、
彼らを罵りません。
むしろ、
「働き者の綺麗な手じゃ」
と褒めます。
そう、
ナウシカのあのセリフです!笑
冗談ぽく言いましたが、これはホントで、彼らには褒める事はあっても怒る事はないです。
本気でやってりゃ、そりゃ服も手も汚れるよな、と。
というか、
元々、仕事着っていうのは「汚れるもんだ」という大前提で着ていないとダメですからね。
機能性>>>>>>>>>越えられない壁>>>>>>デザイン>ブランド
ですね。
まとめ
デザインとブランドで服を選ぶような美容師は三流。
服に(技術が)遠慮しているようでは二流。
本当の一流は、機能性、さらに衛生面までを逆算して考えてから服を選ぶ。